患者さんの食事量や栄養状態は気になるのに、自分の食事は後回し。
忙しい日は、おにぎりだけで昼食を済ませる。夜勤中は、お菓子とコーヒーでひと息つく。仕事が終わる頃には疲れ切っていて、食事を作る気力が残っていない。
そんな経験のある看護師さんも多いのではないでしょうか。
健康の大切さを知っていても、自分の生活で実践するのは難しいものです。
今回は、満尾正医師の著書『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』を入り口に、FPNSの視点から、忙しい看護師にとっての「食事へのお金と時間の使い方」を考えてみます。
1.食費を「未来の自分への投資」と考える
本書では、食事を健康や日々のパフォーマンスを支える「投資」として捉えています。食事を、空腹を満たすためだけのものではなく、自分の体に必要な栄養を届ける機会として考える一冊です。書籍紹介:アチーブメント出版
この「食べる投資」という考え方は、FPNSが伝えたいことにもつながります。
お金を貯めることは大切です。しかし、貯金残高が増えても、毎日疲れていて、休日を楽しむ余裕がなければ、少し寂しいと思います。
仕事を続けるためにも、家族との時間を楽しむためにも、趣味に打ち込むためにも、自分の体は大切な土台です。
食費をいくら減らせたかに加えて、その食事が自分の暮らしをどう支えてくれるか。
そんな視点を持ってみませんか。
2.看護師の食生活は、知識だけでは整わない
看護師は、栄養や生活習慣の大切さを学んでいます。
それでも、予定どおりに休憩が取れなかったり、不規則な勤務で食事の時間がずれたりすることがあります。帰宅してからも、家事や育児が待っている方もいるでしょう。
だから、食生活が乱れることを「自分の意識が低いから」と責める必要はありません。
必要なのは、忙しい日にも選びやすい食事を用意しておくことです。
毎日手作りする。毎食きれいに盛り付ける。栄養を細かく計算する。
そこまでできなくても大丈夫です。
疲れている自分でも続けられる方法を考えることが、最初の一歩です。
3.まずは「主食だけ」の食事に一品足す
ここからは、本書の「食べる投資」という考え方を、看護師の日常に置き換えたFPNSの実践案です。
最初から食事を全面的に変える必要はありません。
例えば、おにぎりだけで済ませているなら、ゆで卵や豆腐、野菜のおかずを足してみる。パンだけの日なら、無糖ヨーグルトや果物などを組み合わせてみる。
ハーバード公衆衛生大学院などが作成した「Healthy Eating Plate」では、食事の組み立て方として、野菜と果物を約半分、全粒穀物を約4分の1、魚・鶏肉・豆類などのたんぱく源を約4分の1にする目安が紹介されています。Healthy Eating Plate
毎回この割合を正確に再現する必要はありません。
「今日は主食に偏っているな」
「たんぱく源を一品足せそうだな」
「野菜を選んでいなかったな」
そんなふうに、食事全体を見るきっかけにすると取り入れやすいと思います。食べる量は、体格や活動量、体調に合わせて調整しましょう。
4.コンビニや冷凍食品も、忙しい看護師の味方になる
食生活を整えるために、必ず自炊をしなければいけないわけではありません。
コンビニでも、スーパーのお惣菜でも、組み合わせを考えることはできます。
例えば、こんな選び方です。
- おにぎり+ゆで卵+野菜のおかず
- ご飯+焼き魚のお惣菜+冷凍野菜
- そば+冷ややっこ+野菜の小鉢
家には、パックご飯、冷凍野菜、卵、納豆、魚の缶詰など、自分が食べやすいものを置いておく。
「帰ってから何を作ろう」と悩まずに済むだけでも、負担は変わります。
私が大切だと思うのは、手間をかけたかどうかより、自分に必要な食事を無理なく用意できることです。
5.夜勤の日は、食事も「事前準備」に入れる
夜勤は、仕事の準備だけでも大変です。そのうえ食事まで考える余裕がない日もあるでしょう。
そんなときは、夜勤の持ち物と一緒に「休憩で何を食べるか」も決めておくのはどうでしょうか。
食事と間食を用意しておけば、空腹になってから、その場にあるものだけで済ませる場面を減らせるかもしれません。
お菓子を楽しむ時間も、看護師にとって大切なひと息です。
その楽しみを残しながら、食事そのものも確保する。自分の勤務中の食べ方を、一度振り返ってみる。
そして、食事や休憩が取れない状況が続くなら、個人の工夫だけで抱え込まないことも大切です。看護師自身が食事を取れる職場環境にも、目を向けたいと思います。
6.FPNSが考える「食事にお金を使う意味」
私は体を鍛えることが好きなので、ジム代や体に良いと思う食品には、お金を使うようにしています。
自分の体を大切にすることが、仕事にも、その先の人生にもつながると考えているからです。
ただし、健康への投資は、高価な食品を買い続けることではありません。
卵や豆腐、旬の野菜など、身近な食品を取り入れる。疲れている日は、お惣菜を買って休む時間を確保する。
そうした使い方にも価値があります。
「少し高いから」と食事を我慢して、無理を重ねていないか。
反対に、「健康に良さそう」という理由だけで、必要以上に買っていないか。
家計と体の両方に無理のない、続けられる食事を選ぶ。
これも、お金を上手に使う技術の一つだと思います。
患者さんを大切にするように、自分の食事も大切に
看護師は、人の健康や生活を支える仕事です。
だからこそ、自分の食事にも少し目を向けてほしいと思います。
今日の食事に、一品足す。
次の勤務に持っていく食事を決めておく。
疲れた日に食べられるものを、冷凍庫に入れておく。
まずは、そのくらいで十分です。
お金を貯めること。
自分の体を大切にすること。
元気に、自分の時間を楽しむこと。
FPNSは、この三つをつなげて考えていきたいと思っています。
今日の一食を、未来の自分への小さな投資にしてみませんか。
